大阪震度6弱:ブロック塀危険性 防災教室講師が2度指摘
2018/06/22 12:21:39

大阪府北部を震源とする地震で同府高槻市の市立寿栄(じゅえい)小学校4年、三宅璃奈(りな)さん(9)が倒れたブロック塀の下敷きになって死亡した事故で、2015年11月に同校で防災教室の講師を務めた防災アドバイザーの吉田亮一氏(60)が、2度にわたって学校側にブロック塀の危険性を指摘していたことが分かった。市教委も学校側の連絡を受け、職員による検査を16年2月に実施し、安全性に問題はないと判断していた。
吉田氏は、1981年の建築基準法施行令の改正で、ブロック塀の耐震規制が強化されたことを念頭に、「35年以上前に建てられたブロック塀は注意が必要」などとメールでも注意を促していた。
吉田氏によると、2015年11月2日に同校に招かれ、防災教室の講師を務めた。その際、子どもたちの登校風景や校区内を見て回り、学校周辺や今回の地震で倒壊したプールサイドのブロック塀の危険性について、校長や教頭に対して口頭で指摘した。
さらに、念押しの意味で「35年以上前に建てられた建物やブロック塀は注意が必要」「危機感を持つこと」などと記した報告書を作成。12月7日に学校側にメールで送った。学校からはその後の対応についての連絡はなかったという。
高槻市教委によると、同校の田中良美校長は吉田氏の指摘を受け、16年2月25日、市教委にブロック塀の点検を依頼。市教委は直ちに資格のない学務課の職員2人を現地に派遣してハンマーでたたくなどの検査をし、「安全性に問題はない」と判断していた。
吉田氏はこの対応について、「ブロック塀の点検は専門業者に依頼しなければならない。市教委は危機感が足りなかったのではないか。守れたはずの命が守れなかったとすれば、非常に残念だ」と話した。市教委の樽井弘三教育長は22日に会見し、当時の判断の根拠について、「ひび割れ、傾きが確認されず、問題なしと判断していた」と謝罪し、原因究明と再発防止について「誠心誠意取り組みたい」と話した。
市教委はブロック塀について、基礎部分(高さ1.9メートル)にコンクリートブロック(1.6メートル)が積まれて計3・5メートルの高さがあり、建築基準法が定める基準(2.2メートル以下)に適合していなかったことを認めている。浜田剛史市長も三宅さんの両親と面会し、「市に責任がある」と謝罪している。
【池田一生、大久保昂、津久井達、真野敏幸】
高槻市立寿栄小のブロック塀を巡る経過
2015年11月2日 防災アドバイザーが学校側に危険性を口頭で指摘
12月7日 防災アドバイザーが報告書をメールで送付
16年2月25日 校長が市教委に点検を依頼。ブロック塀をハンマーでたたく検査を 実施。ひび割れや傾きはなく、問題なしと判断
17年1月 市教委が業者に依頼しブロック塀の定期点検を実施
18年6月18日 震度6弱を観測する地震。女児が下敷きになり犠牲に
21日 市教委が保護者説明会で3年前に指摘があったと明かす
22日 市教委が会見、「原因究明に誠心誠意取り組む」と謝罪
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